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1. |
告発者が公益通報者保護法によって保護されるためには、上記のような厳格な要件を満たさなければなりません。特に、労務提供先以外の者に通報するための要件が限定されており、告発者はまず労務提供先に通報すべきである、との立法意図が見えます。この結果、クサイものにフタをして、企業内部の問題点を握りつぶすことを黙認する法構造になっているのではないでしょうか。
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2. |
従業員などの立場を考えると、労務提供先に対して通報することに躊躇することが容易に予測できます。このように厳格な要件を定めていることによって、逆に内部告発を制限する結果を招いていると思います。
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3. |
公益通報者保護法で保護される告発者であったとしても、現行法では告発者が
事実上の不利益を受ける可能性、すなわち、正規の人事異動である、との名目で
告発者の配置換えや職務内容の変更を理由とした減給が行われる可能性があります。
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4. |
コンプライアンス(法令遵守)体制が確立している企業などでは、告発によって自主的な問題解決が図られることが期待できますが、それ以外の事業者においては、現行法上、事業主に対する罰則規定が設けられていないため、告発が放置される可能性があります。これでは、法の実効性に欠けるといえます。
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